
※日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を参考にしています。
※本記事内の口コミや体験談は個人の感想であり、個人差があり、効果効能を保証するものではありません。
※本記事は2023年12月時点の情報を掲載しています。最新の情報については各クリニックの公式サイトをご参照ください。
※掲載されているクリニックは編集部による推薦です。商品、施術については自由診療であり、保険適用外になります。
薄毛や抜け毛が気になり始めた方は、日常生活で気軽に取り入れられる対策を行いたいと考えられるのではないでしょうか。
髪の毛は日々の食事から摂取した栄養からつくられています。薄毛を改善するためには、身体の内側から頭皮や髪の毛に働きかけ、健やかな髪の毛が成長するように促すことが大切になります。
この記事では、薄毛対策として効果的となる栄養素や、取り入れるべき食材について紹介し、その効果について解説します。
1分でわかる!記事の内容
- 薄毛や抜け毛の改善のために食事対策は効果的
- たんぱく質やミネラル、ビタミンを意識的に摂取することが大切
- 悪影響となる食習慣を避けて髪の成長に効果的な食習慣を取り入れよう
薄毛や抜け毛の改善に食事は重要?

髪の毛や頭皮の状態は、普段わたしたちが口にしている食べものと大きな関わりを持っています。人間の身体は、日常で食事から取り入れる栄養素が、様々な器官をつくり出しており、それは髪の毛も例外ではないからです。
食事から体内に入った栄養素は、頭皮にまで届き毛乳頭、毛母細胞にも届けられ、細胞分裂を繰り返すことで髪の毛が形成されます。ですから、栄養バランスのよい食事を日常的に摂っている人は、髪の毛も健康に成長しやすいということです。
髪の毛の主成分であるケラチンは、たんぱく質の一種であり、複数のアミノ酸によって構成されています。アミノ酸の中には、体内で生成されないものもあるため、食事から摂取することが大切になります。
薄毛の予防や抜け毛の抑制に効果的
食事内容を見直し、髪の毛にとって悪影響となり得る食生活を改善することによって、薄毛の予防や抜け毛の抑制に一定の効果があります。
ただし、食習慣と髪の毛の健康に大きな関連性があると言っても、特定の食品を摂取したから急激に髪の毛が増える、ということではありません。
バランスのよい食事から豊富な栄養素を取り入れ、健康的な髪の毛が成長する土台づくりを行って抜け毛や薄毛を予防しましょう。
髪の健康な成長に悪影響となる食習慣とは

健康な髪の毛が成長するために、食事から取り入れる栄養素が重要な役割を果たすことは前述した通りです。バランスのよい食事を摂ることは、健康な髪の毛が育つための土台づくりとなります。
薄毛が気になり始めている方は、気がつかずに行っているかもしれない髪の毛にとって悪影響を与える食習慣はないか、見直すところから始めるとよいでしょう。
それでは、髪の毛の成長のために悪影響を与える食習慣とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。代表的なものを以下にご紹介します。
高カロリー・高脂質な食事
高カロリー・高脂質な食事は、髪の毛に悪影響を与える食事習慣として代表的なものとなります。
皮脂の過剰分泌や血行不良などが起こりやすくなり、毛穴の皮脂詰まりや脂性のフケを発生させ頭皮環境を悪化させるリスクが高まります。
血行が悪化してしまうと、頭皮にまで十分な栄養素が届きにくくなってしまい、その結果、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足してしまいます。
外食やコンビニ食などが多い方、揚げ物などの脂質が高い食事を好まれる方は、できるだけその回数を減らしたり、量を減らしたりして対策するようにしましょう。
もちろん暴飲暴食は極力避けるようにして、適切な量の食事にすることも大切です。お腹いっぱい食べることは避けて腹八分目を意識するとよいでしょう。
また、野菜や脂質の低いおかずを取り入れて、全体のカロリー量や脂質量を抑えることが大切です。
過度なアルコール摂取
アルコールは適度な量を心がけ、飲み過ぎることのないように気をつけましょう。
摂取したアルコールを体内で分解するためには、髪の毛の成長に必要なアミノ酸やビタミン、亜鉛が大量に必要となります。
栄養バランスのよい食事を心がけていたとしても、過度な飲酒を連日のように行うことで、栄養素はアルコールの分解に集中してしまうため、髪の毛の成長にまで回らなくなってしまう恐れがあります。
また、アルコールが分解されて生成されたアセドアルデヒドはAGAの原因物質であるジヒドロテストステロンを増加させる可能性もあります。
不規則な食事時間
食事はその内容だけでなく、摂取する時間やタイミングも大事です。不規則な食事時間は、それだけで髪の毛にとって悪影響となる可能性があります。
規則正しい時間で食事を取らず、食事を抜いてしまったり、食間の時間が大きく空いてしまうことがあると、体内に貯蔵できない栄養素はその間欠乏することになってしまいます。
また、就寝直前のタイミングで食事をすると、睡眠の質が低下してしまうためおすすめできません。
本来、就寝中には、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンが多く分泌されますが、満腹の状態で睡眠に入ると、食事を消化吸収するために脳が働いてしまうために成長ホルモンが正常に分泌されなくなってしまうのです。
過度な食事制限
体重コントロールのために、食事を抜いたり過度に制限をしたりすることは、薄毛症状に悪い影響を与えてしまいます。
高カロリーな食事ももちろん避けたいですが、栄養が不足してしまえば、髪の毛が育つために必要な栄養も不足してしまうことになります。何事もバランスよく行うことが大切です。
ダイエットを行う際にも、食事制限だけで体重をコントロールするのではなく、運動も取り入れながら行うなど、バランスを考えるようにしましょう。
適度な運動は血行を改善し、薄毛対策としても役立ちます。
薄毛予防に役立つ栄養素

薄毛症状の進行を予防したり抜け毛を抑制したりするために、食生活を見直すことが有効であることは、ここまでにもご紹介してきた通りです。
体内に取り入れた栄養素が内側から頭皮や髪の毛に働きかけて、健康な髪の毛の成長を促すことにつながります。
それでは対策を行いたいと考えたときに、どのような栄養素を意識して摂取するべきなのか、ここからは具体的にご紹介します。
たんぱく質
髪の毛の約8割が、ケラチンというたんぱく質から出来ています。食事として摂取したたんぱく質はアミノ酸に分解された後、髪の毛の元となります。
しかしたんぱく質は、あらゆる臓器や神経細胞の元にもなっているため、まず最初に生命維持に関わる優先度の高い場所へと運ばれます。
全体的な摂取量が不足してしまうと、髪の毛や頭皮に届けられるたんぱく質は不足してしまい、頭皮にまでは十分に届けられなくなってしまいます。
また、たんぱく質が多く含まれる食材は肉や魚類などの動物性のものに加え、大豆や豆腐などの植物性のものがあります。
動物性のものはたんぱく質が含まれる量も多く、食事に取り入れやすい食材ではありますが、あまり多く摂り過ぎてしまうと内臓に負担をかけてしまうため、野菜と一緒に摂ることを心がけましょう。
また、動物性だけでなく、植物性たんぱく質も摂るようにしていくとバランスよく、そして健康的に栄養素が摂取できるでしょう。
ビタミン
ビタミンには様々な種類があります。それぞれが体中のあらゆる機能を正常にする働きがあり、髪の毛や頭皮にとっても、よい影響を与える栄養素となります。
しかし、体内で生成される栄養素ではないため、食事から積極的に取り入れるようにすることが大切です。
種類別に見ると、ビタミンAには、髪の毛の主成分であるケラチンの生成をサポートする働きがあります。またビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康をサポートする働きがあるため、積極的に摂ることで頭皮環境が整えられます。
ビタミンB6は亜鉛の働きを助けて、ケラチンの生成をサポートします。そのため、ビタミンB6が不足してしまうと、いくらたんぱく質を摂取していても、ケラチンの生成自体がうまく出来なくなってしまうため、髪の毛の健康な成長を阻害することになってしまいます。
ビタミンCは、毛細血管の生成をサポートし、ビタミンEは抗酸化作用があるため、頭皮環境を健康に保ちます。
ビタミンを摂取するためには、果物で取り入れるようにするのが、一番手軽に行いやすいでしょう。
ミネラル
筋肉や骨の形成に関わる栄養素であるミネラルは、髪の毛の成長にも関わっています。様々な種類があるミネラルの中で、身体の調子を整える働きを持つミネラルは「必須ミネラル」と呼ばれ積極的に摂取することが推奨されています。
中でも、髪の毛の成長に関わるミネラルとして知られる代表的なものが、亜鉛です。
亜鉛は、髪の毛の主成分であるケラチンを生成する働きがあり、AGAを引き起こす大きな要因となっている5αリダクターゼの働きを抑制する効果もあります。
カルシウムや食物繊維、カフェインやタンニンなどと結合して体外へ排出されやすい性質もあり、不足しやすい栄養素であるため、積極的に取り入れるよう意識しましょう。
ひじきやわかめなどの海藻類を取り入れると摂取しやすい栄養素です。
イソフラボン
イソフラボンは大豆製品に多く含まれる栄養素で、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをします。男性ホルモンの働きを抑制し、AGAの原因と考えられている5αリダクターゼの働きを阻害する効果があります。
5αリダクターゼは、男性ホルモンのテストステロンと結合することでジヒドロテストステロンという抜け毛の直接的な原因となる物質に変換されます。そのためその働きを阻害することは、薄毛を抑制することにつながるのです。
イソフラボンは特に女性にとっては大切な栄養素として知られています。
女性は本来エストロゲンが豊富に分泌されていますが、更年期を迎えることで、そのエストロゲンの分泌量が大きく低下するため、その時期に薄毛症状が現れる方が増加します。意識的に摂取して対策を行うようにしましょう。
薄毛予防に効果的な食材

ここまで、薄毛改善のために効果的な栄養素についてご紹介してきました。
薄毛を改善するために効果的な栄養素がわかったところで、具体的にはどのような食材を食べる必要があるのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。どの食材を食べればその栄養素を取り入れられるのでしょうか。
ここからは、薄毛の予防に効果的な栄養素を取り入れられる食材として、積極的に取り入れたいおすすめのものについてご紹介します。
ナッツ類
ナッツ類には、ビタミンや必須脂肪酸などの栄養素が豊富に含まれています。
アーモンドやピーナッツ、くるみなどには、たんぱく質やビタミンB群、亜鉛が含まれており、たんぱく質の他にも血流を促すビタミンEも含まれています。
また、くるみには髪の毛の成長に欠かせない亜鉛も含まれています。
頭皮環境や髪の毛の健康な成長の両方によい影響のある食物と言えますが、食べ過ぎは禁物です。
そのままで食べられる気軽さもあり、お酒のおつまみやおやつなどとして次々につまんでしまいがちになりますが、脂質が多く含まれていること、市販品には塩分が多く添加されていることを考えると、健康面でのリスクを高める可能性があるため注意しましょう。
ほうれん草
色のはっきりとした緑黄色野菜には、豊富な栄養素が含まれることが知られています。その中でもほうれん草には、ビタミンA(βカロチン)も豊富に含まれています。
また、髪の毛の主成分であるケラチンを構成するアミノ酸の1つである「メチオニン」も豊富です。メチオニンは体内では生成できない栄養素であるため、食物から意識的に取り入れることが大切になります。
通常のほうれん草は加熱する必要がありますが、最近では生のままで食べられるサラダほうれん草なども多く流通しているため、食事に取り入れやすいでしょう。
牡蠣
「海のミルク」とも呼ばれる牡蠣には、育毛効果が期待できる亜鉛やビタミンBが豊富に含まれています。
本来、亜鉛は体内での吸収率があまり高くなく、摂取しても汗や尿などで体外に排出されてしまうことが多い栄養素として知られています。
そのため、せっかく摂取しても、吸収されないまま排出されてしまい、結果として不足しがちな栄養素となってしまいます。
吸収率を高めるためには、ビタミンCやクエン酸と一緒に摂取することが効果的と言われ、柑橘類と一緒に摂取することがおすすめです。そのため、カキフライにレモンを絞って食べるのは、理にかなった食べ方と言えます。
またタウリンやリジンも含まれ、血行促進やたんぱく質の生成を助ける働きもあります。
卵
完全食と呼ばれるほど栄養価に優れた卵は、たんぱく質や亜鉛などのミネラル、ビタミン類を豊富に含んだ食べ物ですが、食べ方によってはその栄養を十分に得られないことがあるため気をつけましょう。
ビタミンB群は熱に弱い性質があるため、加熱すると損なわれてしまいます。そのため、ビタミンBを卵から摂取したい時には生で食べることがおすすめです。
しかしその一方で、生で食べてしまうと卵白に含まれるたんぱく質が、ビタミンH(ビオチン)と結合してしまいます。ビオチンはアミノ酸の代謝に必要な物質であるため、不足すると髪の毛の生育に影響を与えることになります。
卵の食べ方として特に推奨されるのは、ゆで卵を1日2〜3個程度食べることになります。
毛髪や頭皮に悪影響となる食事は?

食生活によって薄毛を改善したいと考えたとき、髪の毛によいとされる食事や栄養素に気をつけ、それに対応する食事を行うことは大切です。
しかしそれだけではなく、髪の毛や頭皮に悪い影響を与える食事を避けることも、同じくらい大切になります。
そうでなければ、どれだけ栄養素に注意して食事をしても、その栄養素の吸収を阻害するような食習慣が続いていれば、その効果が十分に得られないからです。
健康な髪の毛が成長するために、以下にご紹介するような食事は控えるようにしましょう。
ファストフード
ファストフードと呼ばれるものにも、様々な種類があります。その代表的なものであるハンバーガーで考えてみると、たんぱく質が多く含まれる一方で、ビタミンやミネラルが少ないという傾向があります。
また、脂質や糖質が多く含まれるため、食べる頻度が高くなればなるほど、健康面に悪影響を与える可能性があります。
またGI値が高い食品であるため、食後の血糖値が急激に上昇するという傾向があります。急激に上昇すれば、食後しばらくして急激に低下することになるため、その時に空腹感を覚えて余計に食べてしまうことにつながります。
高脂質、高カロリーでさらに反動による食事量の増加が、皮脂の過剰分泌や血流の低下、さらには肥満を招くことになり、髪の毛への栄養不足から抜け毛や薄毛症状を進行させるリスクを高めます。
カフェイン
コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれることで知られるカフェインですが、摂り過ぎることには注意しましょう。
まず、髪の毛の成長に必要な栄養素である亜鉛の排出を促してしまうため、注意が必要です。
また、覚醒効果により睡眠の質が低下してしまう恐れがあります。睡眠中には髪の毛の成長を司る成長ホルモンが多く分泌されるため、睡眠がうまく取れなくなってしまうことで髪の毛の成長に影響を与えてしまいます。
摂り過ぎないように注意して、適量であれば問題ありませんが、もしもどうして飲みたい場合には、カフェインが入っていないコーヒーやお茶を取り入れるようにしましょう。
また睡眠の質について考える場合には、できるだけ午前中のうちに飲むようにすれば就寝時間までには、覚醒効果の影響が抑えられるでしょう。
インスタント食品
インスタント食品にも様々な種類があり、手軽に手に入れられ、しかも簡単に食べられることから、日常的に利用する方も多いでしょう。
例えば代表的なインスタント食品として挙げられるカップラーメンですが、まずは塩分や糖質が多く含まれていることが、あまりおすすめできない点です。
塩分を過剰に摂取すると血流が滞りがちとなり、頭皮の血行も悪化してしまいます。
また、フィチン酸やポリリン酸という食品添加物が含まれている傾向が高くなっていますが、これは亜鉛の排出を促進する働きがあるのです。そのため、薄毛対策を真剣に考えるならば、カップラーメンなどのインスタント食品はできるだけ避けるようにしましょう。
アルコール
アルコールは血行を悪化させる作用があり、摂取すれば頭皮の血流を悪化させることになるため、髪の毛に必要な栄養素が届けられなくなる可能性があります。
また、摂取したアルコールを体内で分解するためには、アミノ酸やビタミン、ミネラルが多量に必要となります。
しかし、それらの栄養素は髪の毛の成長にも不可欠な栄養素です。
アルコールの分解に使用されることによって、髪の毛に必要な栄養素が不足することにつながってしまいます。
つまり多量の飲酒は、結果的に薄毛症状を悪化させることにつながる可能性があるということです。
お酒が好きな方にとっては、飲酒を制限することがストレスとなって逆に心身に影響が出ることもあるでしょう。そのため、絶対禁酒しなければいけないということではありませんが、できるだけ控えることは薄毛対策にとっては必要となります。
過度な飲酒はしないようにして、適度な量で楽しむようにしましょう。
まとめ
本記事では、薄毛や抜け毛の改善や予防に役立つ食事の工夫について、解説しました。髪の健康を保つために必要な栄養素やそれらを多く含む食品を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。バランスの良い食事を心がけることや生活習慣の見直しが髪の健康にプラスの影響してきます。